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行動文化 (30)杉山流借金術 (その2) 

 杉山流借金術 (その2)

杉山が済々黌に佐々を訪ねると、宿直室に薄汚れた筒袖の浴衣を着て、当時一銭三厘の弁当飯を一人でモソモソと食っている とても他人に資金援助のできそうな人物とは見えないが、薄汚れた筒っぽ袖や一銭三厘の弁当飯はどうでもよい 杉山は、佐々友房の社会的な信用に目をつけた


対坐して氏素性を名乗ると、まず時局談 語るうち、政界の藩閥横暴を怒る悲憤慷慨の志が一致をみた そこで用件 


「貴殿を男と見込んで、200円を借り受けたく推参つかまつった 承知か、不承知か 端的にお答え願いたい」佐々が驚いて、「僕は無一文 着たきりスズメのスカンピン、貴君の依頼には応じ難い」


茂丸深くうなづき、「ならば、あの軸をもらいたい」と、壁にかかっている藤田東湖筆の「三たび死を決して死せず」云々という石刷りを指さす


「よろしい 進呈しよう」


茂丸これを受け取ると、その場でバリバリと引き裂いた 佐々が色をなして、


「なにをする どういうつもりか?」


「さっきから目ざわりでならぬ」


「何が気に入らぬ?」


「貴殿を見そこのうた 藤田東湖何者ぞ 三たび死を決して、とあるが、男児の決すべき死は一度限りのもののはず 田原坂で死ぬべき身を、敵方の懲役にまで応じて恥とも思わぬ貴殿に自分の志を述べた事を深く後悔したから引き裂いた 異議があれば承ろう」と、真正面から目を据える


「――もっともの議論だ 僕はいま、君に向かって死生の事は論ずまい――君の宿泊先を聞いておきたい あらためて出向く」


 


翌朝、佐々は宿へやってきて、


「昨日、君と別れてから、どうしても君に必用のカネを用立てたくてたまらぬ 一晩中駆けまわってやっと百円こしらえた また高見という知人もこの話を聴いて、熊本人として君を素手で帰してはならぬ、足って足らんでもこれを用立てたいと、たった一幅の秘蔵の掛け軸を売って六十円を持って駆け付けてくれた 合わせて百六十円 貴君の希望には届かないが、これを使ってくれるか」と、二人の肥後モッコスが寝ずにつくった百六十円を差し出した


「ご貴殿方がそんな思いをしてこしらえてくれた金なら、五十円でも余りがある もともと二百円は予算の金額ではない 有難く頂戴する」


 そう言ってから、茂丸は改まった 杉山一流の筋論がはじまる

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